M.A. 様 – 大学院(Ph.D.)

名前:M.A. 様
所属:Institute for Frontier Materials
留学の種類:大学院(Ph.D.)

ディーキン大学附属英語学校(DUELI)について

授業について
私はウォーターフロン・キャンパスで、進学英語コース(EAP: English for Academic Purposes)というコースを受けました(ウォーターフロン・キャンパスではこのコースのみ)。進学英語コース(EAP)には4段階のレベルがあり、それぞれの目的に合わせて留学生が勉強しています。
各コースは5週間単位で行い、私が履修したレベル3と4(=EAP3と4)では、実際に大学の講義に対応する基礎力を養うという観点で授業が構成されており、report writing、essay writing、critical thinking、effective listening & note-taking skills、oral presentations、learning to actively participate in group & classroom discussions等を学ぶことができます。最終週には試験が実施され60%(Ph.D.は70%)以上の成績でなければ、もう一度コースをやり直すことになりますが、ちゃんと出席し勉強して、宿題も提出していればクリアはそれほど難しく無いと思います。特に、レポートやエッセイが得点の中心になりますから、他国の学生よりライティングが比較的得意な日本人には有利かと思います。

施設・設備の活用法
ウォーターフロン・キャンパス内の図書館、共有PCは基本的に使い放題(PC roomで授業をしているときはダメだが)であり、もちろんインターネットも使用できるので、PCを持っていない人やインターネット回線の契約が出来ていない人でも使用できるので、とてもありがたいです(私も最初の頃はお世話になりました)。
また、DUELIがあると言う事で、図書館には英語勉強用の教材が沢山あり、もちろん無料で借りられるので、授業以上のことを勉強したい人はそれを借りると良いでしょう。

学生サービスの活用
ディーキン大学学生自治会(DUSA:Deakin University Student Association)という組織があり、この組織が定期的にFree Lunchを提供してくれたり、色々なサービスが受けられます。私がDUELIにいるときは、DUELIの学生は無料でこのサービスを受けられました。卒業後も希望する場合は、一年で数十ドル程度の費用で入れるので、必要な人は引き続き入ると良いと思います。
また、DUELIのマネージャーが、DUELI卒業生や大学の派遣研究員に対し、現地学生との無料の会話クラス(Conversation class)(週1回、無料)を設けてくれており、お菓子を食べながら週代わりのテーマで会話をする事が出来ます。このクラスはとても有意義で、新しく友達も出来ますし、とてもお勧めです。さらに、この会話クラス参加者を中心として、2~3か月毎に色々なイベントを企画してくれるので、すごく有難いですね。

シェアハウスについて
ディーキン大学のワーンポンド・キャンパスにシェアハウスやユニット等の物件を仲介してくれるオフィスがあるので、そこで相談すると割と簡単に見つかるのではないかと思います。ただ、時期的には(学期の開始前とか)良い物件が無かったりすることもあるかもしれませんので、日本にいるときから探す事が出来るのであれば、そのようにする事をお勧めします。
シェアハウスは基本的に一人一部屋借りて、バス・トイレ・キッチンが共同というスタイルですが、部屋数の規模は3~4部屋の家から10部屋以上のものまで多岐に渡ります。また、住人同士の交流の度合いも色々なようですが、入居するまで分からない可能性もあるので、性格に合わない場合は我慢して住むのではなく、新しい家を探すと良いと思います。
あと、メルボルンやジーロングはオーストラリアでも南のほうに位置するため、秋の終わり~冬~春の初めにかけては、想像以上に気温が下がります。冬では朝晩は最低気温が0度程度まで下がる日もありますし、風の強い日も多いので、防寒はしっかりとしたほうが良いでしょう。シェアハウスによっては暖房が弱かったり、隙間風がよく通る家もあるでしょうから、十分気をつけてください。今となっては笑い話ですが、7月にシェアハウスに入った時、ベッドのみある家だったので、枕やシーツ、薄手のブランケットなどを購入しました。その時に、どの程度の防寒がいるかとハウジング・オフィスで聞くと、「そのブランケットで十分ですよ」と言われたのですが、ふたを開けると朝晩は室内が4~5℃まで下がり、暖房も効かず大変な思いをしました。私は用心深かったので、分厚い毛布と掛け布団を別の店で追加で買っていたために事無きを得ましたが、それが無ければ凍えてどうにもならなかったでしょうね。ただ、そのオフィスのお姉さんを擁護するとすれば、ヨーロッパ人はアジア人に比べ寒さにとても強いようで、冬でも半袖やミニスカートで歩いている人がいるほど。なので、そのお姉さんは本気で「大丈夫」と言っていた可能性もあるのですが、私たちはアジア人なので、防寒対策はしっかりしておいてください。

ディーキン大学大学院について

授業について
私はPh.D.コースに入学し、Institute for Frontier Materialsという研究所に所属しています。Ph.D.コースと言う事で研究がメインの内容となっており、コースワークが無く、授業がありません。必須なのは1回/週のグループミーティングのみで、その他は、週1回以上は開催される多種多様なセミナーがあるので、興味があるものに出席するという生活を送っています。

なぜディーキン大学を選んだか?
答えは単純で、私の勉強したい内容を研究している先生(Professor)がディーキン大学に所属されていたからです。このSupervisorはまだお若いのですが、当該研究分野において若手の中で注目されている方であり、研究熱心で頭が切れるだけでなく、人柄も温厚で面倒見も良く、このSupervisorの下に留学できて良かったと思っています。
ディーキン大学は近年大きく発展している大学であり、世界ランキングも上がってきており、研究内容も充実していると思います。また、留学生の受入れにも積極的に取り組んでいるようで、構内では留学生を沢山見つけることが出来ます。私の研究所のPh.D.の 学生(100数十名)に限って言うと、9割程度が留学生です。多い地方で言うと、中国、インドが各々留学生の3分の1程度、次に中東(イランが多い)、ヨーロッパ(ドイツが多い)と続きます。また、その他にもアメリカや東南アジアからの学生も少々見られます。残念ながら(?)、現時点では日本人は私だけですが、この環境のおかげで学校で日本語を話す事が無くなり、英語でコミュニケーションを取るしかないので、語学の上達の面では良かったのではないかと思います。また、多国籍の学生がいることで、各々の国の文化について説明や意見交換する事も多く、とても良い勉強になり、また刺激を受けています。

施設、設備の活用法
現在は、Ph.D.の学生と言う事で、一人1台のデスクトップPCと専用デスクを貰っています。机の幅も180cmくらいあって、日本の大学院(修士)時代よりも広く、またクリーンな環境で勉強が出来ており、全く不満は無いですね。この専用デスクについては、Master(修士)の学生も一人一つ貰っているので、とても環境は良いと思います。もちろん、Bachelor(学士)の生徒の様に図書館で勉強する事も可能なので、気分転換に図書館で研究レポートを書いたりする事もありますね。
また、私はジーロング のワーンポンド・キャンパスで勉強していますが、周りには自然も多く、勉強するのには最高だと思います。構内には池やチャペル、グラウンド・ジム等の施設があり、池では沢山の鳥が見られ、夕方には沢山のウサギが出てきますし、とっても癒されます。もちろん、自然が多いと言う事でジーロングの市内からは少し離れていますが(10kmほど)、1時間に2本程度の頻度で無料のシャトルバスがウォーターフロント・キャンパスから出ていますし、有料にはなりますが公共のバスも頻繁に走っているので、それほど不便はありません。個人的には、勉強するところは静かな場所のほうが適していると思いますので、その点において、このキャンパスはとても良い場所だと思います。

その他
オーストラリアならではのエピソードとして、人を呼ぶ時の呼び方が印象的です。それは、ほぼ全ての場合においてファースト・ネームで呼び合うのです。これは、大学の教授に対しても同様に呼んでいます。もちろん、研究所の所長に対してもファースト・ネームで呼び捨てです(笑)。中には教授をニックネームで呼ぶ人もいて、日本人からすると本当にビックリします。欧米ではファースト・ネームで呼び合う文化があるのは有名ですが、上司や先輩など目上の人に対しても呼び捨てで呼ぶというのは余り無いようです。このような呼び方の文化一つとっても、オーストラリアには気さくで付き合いやすい人が多いことが想像してもらえると思います。
私も最初はファースト・ネームで呼ぶのが恥ずかしいやら申し訳ないやら、しっくり来ませんでしたが、今やファースト・ネームだけでしか呼ばないものですから、苗字が分からない友達だらけとなってしまいました(笑) 皆さんも、こちらに来た時には、目上の人にも臆せずファースト・ネームで呼んでみてください!(一応、礼儀として「Call me ○○.」と言われるまでは、先生や偉い人にはProfessorとかMr、Msとかをつける方が良いこともありますので、状況に応じて使い分けてください。)

留学生活全般・メルボルン・オーストラリアについて

留学でできた友達との思い出
私は合計10週間DUELIに行きましたが、この間に出会った友達とは今もずっと交流を続けており、とても良い友達関係を築く事が出来ました。国籍もばらばらで、中国・イラン・ブラジル・ベトナム・インドネシアなどで多種多様な考えや文化を持っているので、話をするととても楽しいです。また日本に対して興味を持っている人が多く(漫画や家電、食文化(お寿司・お茶)が好きとか)、そういった話をするととても盛り上がります。
 また、この友人の中で、持ち回りで各郷土料理を振舞うというランチ・パーティーを交代で行う交流を続けていたり、みんなでバーベキュー(BBQ)をしたりと、本当にいいクラスメイトに恵まれたなあと思っています。ちなみに、こういった交流は家族ぐるみで行っており、既婚者はそれぞれ配偶者や子供も連れて来て、皆で交流を楽しんでいます。

休暇の過ごし方・お勧めのスポット
身近な所では、ウォーター・フロントのカフェで食事を楽しんだり、川沿いや林(ブッシュ)の中をウォーキングしたり、のんびりできます。夏場は海で泳いだりサーフィンをしたりできますし、20歳を超えていれば、近くのワイナリーに行くのも良いでしょう。
少し遠出をするのであれば、グレート・オーシャン・ロードの走破や、メルボルンでショッピング、美術館巡りや動物園に行くのも良いですね。また、メルボルンには大きなヤラバレーというワイナリー群があるので、そこもお薦めです。メルボルンを挟んで湾の向こう側に行くと、かわいい野生のペンギンに会える場所があったり、オーストラリアでは珍しい温泉があったりします。
季節限定ではありますが、メルボルンでは大型イベントが多くあります。有名どころはF1やテニスの全豪オープン、また日本では有名ではないかもしれませんが、メルボルン・カップという競馬の大きなイベントがあります。
遠出をすれば、シドニー、ゴールドコースト、ケアンズ等の観光地にも国内旅行となるので、簡単にいけますし、内陸に入ってウルル(エアーズロック)に行くことや、南に飛んでタスマニアというのも良いですね。日本からだとちょっと遠いですが、どこもメルボルン空港から一本で行けるので、まとまった休みを取って是非行ってみてくださいね。

ジーロングでの生活
ジーロングは人口20万人強の小さな町です。でも、オーストラリア12番目の規模の町です。ですので、大きな町ではない物の、ショッピングセンターも充実していますし、ジーロングの中だけでも、何も不便はありません。それよりも、ゴミゴミしていないので、とてもゆったりと住む事ができ、「都会はちょっと・・・」と言う人にはうってつけな町だと思います。ちなみに、海沿いはとてもキレイで、沢山のヨットが泊まっているのが印象的です。ジーロングの郊外には海が有名なリゾート地のような場所が沢山ありますし、少し南にいけばトーキー(Torquay)というサーフィンで有名な町(世界大会も開かれる)があったりと、海にまつわるアクティビティが多いですね。さらに、もう少し南にいけば、グレート・オーシャン・ロードという有名な観光名所がありますので、周辺の自然環境は素晴らしいものがあります。日本人が好きなコアラやカンガルーも野生でみる事ができますよ。
また、そもそもオーストラリアは治安が良い国ではありますが、都会と比べるとさらに治安が良いように感じますし、優しい親切な人も多いと思いますので、安心して住むことができると思います。
どうしても、都会で一杯楽しみたい!という方には、V-lineという特急で1時間でメルボルンにいけますから、週末はメルボルンにいって思う存分遊ぶ事も可能ですので、ご心配なく!

苦労した事
オーストラリア人は日本人に比べてよく言えばおおらか、悪く言えば適当な性格なので、家の点検とかで時間通りに来てくれなかったり、色々な対応がゆっくり(遅い)だったりします。が、それは慣れの問題なので、最初はイライラしましたが、今や気にならなくなりました。こちらに来たばかりの人は気になったり、苦労させられたりするかもしれません。

留学前後での変化
留学を通じて、自分の中で様々な変化がありました。まずは、外国人との交流について。日本では、海外の人と話す機会は殆どありませんでしたが、こちらに来て日本人が私だけの状況も少なくなかったので、頑張って話し続けていたおかげで、英会話の怖さは全く無くなり、それどころか話すのがとても楽しくなりました。オーストラリアは多文化な国であるので、英語が第一言語で無い人が多くいます。その為か、英語が下手でもしっかりと耳を傾けてくれますし、すごく話しやすいです。その代わり、ブロークン(Broken)な英語になりがちではありますので、それらを修正していく努力は重要ですね。
外国人、外国文化に対する理解について。色々な国の人と接する事で、それぞれの性格や文化を学ぶ事ができ、とても勉強になりました。実際にTVを通して見聞きする事と、実際自分で話して理解することは大きく違ったという印象です。具体的には書きませんが、「百聞は一見にしかず」ということで、留学の際に感じていただければと思います。
日本に対する自信について。海外の人から見た日本に対するイメージの良さにビックリしました。オーストラリアは親日の人が多い国ではありますが、その他の国から来た友達でも、日本好きはかなり沢山います。肌感覚では3人に1人か2人に1人くらいいるように思います。これは、日本の文化(食文化やアニメーションなど)だけでなく、日本人の良さもすごく評価してもらっているように思いました(時間に正確・親切・まじめ など)。こちらに来た事で、日本の良さを再認識し、日本人として誇りに思って良いことが沢山あるのだと自信が持てた気がします。
自分自身の性格について。上述のように自信が持てた部分もありますが、反省する部分もありました。それは、仕事とプライベートのバランスです。オーストラリア人は日本人と比べ、家族との時間をとても大切にします。言い換えれば、日本人のように長時間の仕事をしません。国ごとに仕事の環境は違うとは思いますが、プライベートを充実させる事で仕事もうまくいくという部分もあると思いますので、このバランスに関して考え直す良いきっかけになりました。また、先ほども述べたとおり、日本人ほどきっちりしておらず、ゆったりとした雰囲気であるので、私も郷に入っては郷に従えということで、オージーを見習って、のんびりした性格に変わったのではないかと思います。
最後に、総じて、留学を通じて良い影響を沢山受けていると思います。留学をきっかけに人生が大きく変わる可能性があることを感じていますし、これからこの経験を生かして、人生をより良く、充実したものに変えていければと思います。

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